油絵具の使い方

1.道具をそろえる
2.絵具の使い方
3.ちょっとひと手間
4.仕上げた画面の保存
5.後片付け

2 絵具の使い方


・まずパレットに絵具を出しましょう
パレットに色を絞り出す方法には決まりはありませんが、使いやすい方法としてパレットの右から赤、茶、黄、黄土などの暖色を置き、その続きに緑、青、グレー・黒と左へ並べると色が分かり易く混色しやすいでしょう。
パレットは混色スペースを広く取る方が良いため、絵具はパレットの上の端に並べましょう。
ホワイトはよく使うため、他の色より多めにパレットの下の端に出しておくと便利です。

・油絵具の混色
濃い色に淡い色を混ぜると、淡い色をどんどん混ぜてしまい、必要量以上に沢山の混色された色が出来てしまうことがあります。 淡い色に濃い色を少しずつ混ぜると無駄な量が生じません。
ビリジアン(濃い緑)やプルシャンブルー(赤味の濃い青)を混ぜ合わせる場合は特に注意しましょう。

油絵具のそれぞれの色はとても濃く出来ており、そのまま描くと暗い作品になりがちなので、ホワイトを混ぜて明るい色を作り、画面の印象を調整しましょう。
油絵具は混ぜすぎると色の鮮やかさが失われます。色を2種+ホワイトを加えて3色程度に抑えると、鮮やかな色の作品に仕上がります。



・油絵具の重ね塗り
ままだ乾いていない画面への重ね塗りは難しいものです。
柔らかい毛の筆に絵具をつけ、絵具をそっと置いてゆく気持ちで塗りましょう。どうしても下の色と混ざってしまいますが、「画面上で偶然混ざった色のタッチ」も油絵の良さです。
初歩のうちは表面が乾くまで待って塗り重ねた方がきれいに仕上がります。

油絵具は3〜5日経過すると表面が薄い皮が張ったようになり指で触れても絵具が付かなくなります。この時に塗り重ねると、油絵具はきれいに塗り重ねができます。少し厚く塗ってある時は絵具の中まで乾いていないので力を入れすぎると表面の皮が破れて下の色と重ねる色が混ざるので、注意しましょう。

油絵具で描いた画面は2〜3ケ月経過すると大分乾燥します。
油絵具は乾くと表面のつやが抑えられるため、元の色と違って見えます。この上に艶のある油絵具を塗ると色がちぐはぐします。
こうした場合は「ルツーセ」という艶を復元するニスを吹き付けて元の色に戻してから新しい色を塗り重ねると、配色のチグハグが抑えられます。


3 ちょっとひと手間


・溶き油と溶剤で絵具をやわらかく
油絵具は色が濃く製造されており、そのまま使用するとかなり強い色です。
その場合は「溶き油」を絵の具に混ぜ、絵具の色を薄めましょう。適量を油つぼに入れておき、そこから筆先に付けて絵具に混ぜると色が淡くなり透明度が高くなります。
絵具の粘度が高すぎて塗りにくい場合は溶剤を少し混ぜると絵の具がやわらかくなります。また、筆描きで構図の輪郭線を描く時には溶剤で油絵具を溶かして使います。使い方は、溶き油と同じです。ただし、溶剤でさらさらに溶かした絵具は画面に付着する力をなくしているので、大量に使うと後日画面が割れたり剥げたりする恐れがあります。

・絵具を早く乾燥させるには
溶き油を使い、油絵具をにごらせずに重ね塗りをするため画面を早く乾燥させたい場合、乾燥促進剤というシッカチーフを溶き油に混ぜて油絵具を溶きましょう。シッカチーフは乾性油が早く乾くのを助ける材料です。ただし、シッカチーフは所定の量以上入れてもより早く乾かす効力はありません。逆に画面に亀裂を入れたり、シワを寄せてしまい失敗してしまいます。「調合溶き油」にはあらかじめシッカチーフが入っています。

油絵具をペンチングナイフなどで厚塗りで描いているときに、早く絵具を乾かしたい場合はペースト状の乾燥促進絵具「メデイウム」を油絵の具に混ぜて使いましょう。混ぜる量に制限はありませんが、大量に使用すると、絵の具の色が薄くなります。

油絵具を混ぜものをせずに早く乾かすには、アトリエの温度をあまり低くせず(20℃以上)、明るくして風通しを良くしましょう。狭くて暗い倉庫などに入れると乾燥が遅くなります。水彩画を乾かすように、画面に熱風を吹き付けても早く乾燥することはなく、シワが寄るなど予想できない現象を起こすのでやめましょう。



・画面の光沢を描いている間に調節するには
油絵具はそのままでも光沢が出るように造られていますが、色により光沢の差がでたり、乾燥するときの状態により光沢が出ないときがあります。こうした場合は絵具に混ぜる乾性油(ポピーオイルやリンシードオイル)に光沢が出るようにするニス「パンドル」を加えると、ほどよい光沢が出ます。溶き油の一種である「調合溶き油」には、このニスが添加されています。
溶き油を使わず、絵具の粘りを使って盛り上げている時はニスを添加する事が出来ないので、完成してから光沢修正のニス「ルツーセ」や画面保護用のニス「タブロー」で光沢を出しましょう。

ニスを添加した溶き油は仕上げの段階で使用しましょう。下塗りに使うと上に塗り重ねる色をはじいたり、乾燥後剥離する恐れがあります。
油絵には、下塗りは乾性油に溶剤を少し加えて描き、上に重なる油絵具をしっかり受け止めるように下準備する
描き進むにしたがって油を多く使いがっちりした画面に仕上げる
仕上げにニスを含んだ油で溶いた油絵具を塗るというルールがあるのです。

光沢を抑えた画面を描きたい場合、マットペンチングオイルで油絵具を溶いて描きましょう。溶剤で油絵具を溶いて描いても光らない画面になりますが、溶剤で薄めた絵具は極端に付着力が弱められているので後日剥げる恐れがありますので止めましょう。光らない画面、艶消しの画面は完成後に画面保護用のマットタブローを吹き付けても作れます。

・油絵具を塗りなおすには
絵具が乾燥した作品の一部を取り去り、新しく塗り直したいときは、一般にストリッパーとか絵具剥離材と呼ばれている画用液を使いましょう。絵具剥離材を取り去りたい部分に筆で塗り少し時間をおいてペンチングナイフで掻き取ると綺麗に油絵具が取れて、下地が出てきます。その後ペトロールなど溶材で拭き完全に乾いたら新しい油絵具を塗って制作しましょう。


4 仕上げた画面の保存


・完全に乾燥していない画面を保護するには
完全に乾燥していない画面を保護するには薄い保護膜をつくる画面保護ニスを吹き付けましょう。タブロースペッシャルやサーフェイスコートが適しています。少し乾いていたら「ルツーセ」を吹き付けるとより光沢が出ます。

・完全に乾燥した画面を保護するには
油絵具が完全に乾いた時(完成後6ケ月以上経過)の画面には油絵具に有害なガスを遮断し、その上光沢を出す画面保護用のニス「タブロー」を塗りましょう。タブローを塗ると絵具面の通気性を完全に遮断する保護膜を作ってしまうから、まだ完全に乾燥していない絵具面に塗ると、中から放出された水分などが外に出られなくなり白く霧がかかったようになることがあります。最低6ケ月以上乾かしてから塗りましょう。
つや消し画面にしたい場合は「マットタブロー」を塗りましょう。
乾燥が6ヶ月未満の間は、ルツーセを塗って保護しましょう。


5 後片付け



・制作が終わったら
パレットの上は絵具は固まらないうちに拭き取りましょう。使い残した絵具はペンチングナイフで掻き取り、取り残しを布で拭き取り、最後に筆洗液かペトロールやテレビンのような溶材で拭いておきます。パレットの端に絞り出して並べていた絵具の残りは明日も使うのなら残しておいても良いですが長期間残したままにすると、固まって取れなくなるので気をつけましょう。パレットの色を混ぜ合わせるスペースだけは必ずきれいにしましょう。

パレットの上で固まってしまった油絵具は絵具剥離材を固まった油絵具の上に塗ると固まった絵具が柔らかくなり、ペンチングナイフで剥がせるようになります。木製のパレットの場合、購入時の塗装仕上げも溶かしてしまう場合があるため、絵具剥離材使用後は「溶き油」を良く染み込ませておきましょう。プラスチックのパレットは表面が溶かされることがあるので、パレットの裏面で試してから使用しましょう。

油壺は制作中に絵具の付いた筆を差し込んだりして汚れています。また、使い残した油は日が経つと酸化して固まってしまいます。中の油を新聞紙に浸みこませ、油壺の中は溶剤を入れて中をよく拭き取っておきましょう。
注意:油の付いた紙や布をごみばこに捨てて押し込むと油が熱を出して発火することがあるため、必ずビニールのごみ袋に入れて、口をしっかり結んで外に出しておきましょう。

筆の洗い方

1.一日の制作が終わったら筆を綺麗に洗いましょう。筆に付いている絵具が固まって筆が傷んでしまいます。筆に付いた絵具は紙か布でよく拭き取りましょう。
油絵具が固まってほぐすことができなくなった筆は、絵の具剥離剤という画溶液に筆先を浸して油絵具をやわらかくしてから、絵具を布でよくふき取りましょう。
2.油絵具を使用した筆は、水では洗えません。専用の洗浄液、「ブラシクリーナー」を使用します。
ブラシクリーナーは石油を精製した溶剤のものと、水に薬品を溶かして作った水性のものがあります。溶剤の臭いが嫌いな人は水性タイプを使いましょう。
まず、ブラシクリーナーを筆洗器に入れます。筆の穂先が完全に浸る程度まで入れましょう。
3.筆洗器に筆を入れてジャブジャブ動かし、筆の毛の奥まで入り込んでいる絵具を洗い出してやります。時々取り出して布や紙で絵具をぬぐってからブラシクリーナーで再び洗ってやると、早く汚れが落とせます。
念入りに汚れを落としましょう。
4.洗い終えたら、石鹸で洗いましょう。
動物毛の筆には洗髪用のリンスをしておくと長持ちします。
乾燥させるときは、穂先を下にして干しましょう。汚れが穂の根元にたまりにくく、長持ちします。
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