アクリル絵具の使い方

1.道具をそろえる
2.絵具の使い方
3.ちょっとひと手間
4.仕上げた画面の保存
5.後片付け

2 絵具の使い方


・アクリル絵の具とアクリルガッシュ
現在アクリル絵具には「アクリル絵具」と「アクリルガッシュ」の2種類があります。
アクリル絵具は透明度が高い色で、油絵具に似た濃い色をしています。アクリル絵具で描くと色に透明感があるので塗り重ねると下になった色と重なり合い色に深みが出、光沢が出ます。
アクリルガッシュは不透明の色で重ね塗りをしても下の色があまり透けず、水彩絵具の不透明水彩(ガッシュ)に似た色をしてます。アクリルガッシュで描くと色は平面的で鮮やか、塗り重ねると下になった色が見えなくなります。また、光沢はなくマットな仕上がりになります。

アクリル絵具は水彩絵具のように水分が蒸発すれば乾きます。水彩絵具は乾いても水を付けるとまた溶けますが、アクリル絵具は乾いたら水を付けても溶けないので気をつけましょう。パレットに出した絵具が乾かないようにするには、時々霧吹きで絵具の表面に水を吹きつける、パレットの上に湿らせたキッチンタオルを敷き、その上にアクリル絵具を絞り出す、ウレタンシートを使用したものを活用しましょう。




・混色
○アクリル絵具とアクリル絵具を混ぜる場合
色をにごさないように混色しましょう。補色になる色を混ぜると黒に近くなります。
また、色によっては補色の成分を含んだ色があるから気をつけましょう。
例えば、濃い赤色の「クリムソン」には黄色の補色である「バイオレット」が含まれているため、イエローと混ぜてもきれいなオレンジ色にはなりません。
明るい赤色の「スカーレット」のような、黄色の色味を含んだ赤色の絵具を使うときれいなオレンジ色になります。
きれいな混色のために、絵具のセットにこのような色みの絵具をプラスすると良いでしょう。

1 スカーレットのような黄味のあるレッド
2 カドミウムイエローのような赤味のあるイエロー
3 ウルトラマリンブルーのような赤味のあるブルー
4 セルリアンブルーのような緑味のあるブルー

○アクリルガッシュとアクリルガッシュを混ぜる場合
混色をすると鮮やかな色が鈍くなるので、あまりお勧めできません。
あまり混色をしなくても良いように、アクリルガッシュは色の種類が豊富にそろえられています。
アクリルガッシュの色が鮮やか過ぎる場合は、黒を少し加えると落ち着いた色身になります。色を鮮やかにしたい場合は、同系色の蛍光色を混ぜましょう。

○アクリル絵具とアクリルガッシュを混ぜる場合
透明性の高い色をアクリルガッシュに混ぜると比較的きれいな発色になりますが、透明性の低い色を混ぜると色の鮮やかさが失われます。アクリルガッシュの蛍光色を混ぜると色が鮮やかになります。

アクリル絵具にホワイトを混ぜると色は淡く、明るくなりますが、透明度が失われます。「ジンクホワイト」、「ミキシングホワイト」などを用いましょう。

・重ね塗り
アクリル絵具類で制作している画面がよく乾いていたら塗り重ねはどんどんできます。長い時間が経つていて表面が少しカサカサしている時は霧吹きで水を吹き付けると絵具と同じような艶に戻るので筆を加える色との調子が合います。
アクリル絵具類で制作している画面が生乾きのときに塗り重ねするのは難しいです。表面に薄い皮が張ったようになっている場合は、その皮を破らないように、水彩画に使う柔らかい毛の筆に絵具を付けて、そっと絵具を置いていくように塗りましょう。ペンチングナイフでバターをパンに塗るように塗り重ねても良いでしょう。表面の皮が破れて下の色と混ざってしまっても偶然の混色が独特の風合いを出す場合があります。


3 ちょっとひと手間


・画溶液を用いて色を薄める
アクリル絵具は濃くできてます。色を薄めたい場合は、メディウムというジェル状の画溶液を混ぜて調整しましょう。メディウムは欲しい効果に合わせて硬さ、光沢の度合いなど様々な種類があります。
光沢があっても良い場合はグロスメディウムで溶きます。
光沢が欲しくない場合は、マットメディウムを用いましょう。アクリルガッシュの場合も同じです。
どちらも絵具に混ぜた時には白濁色になりますが、乾燥すると透明になります。
メディウムを混ぜて粘りが気になる場合は水を少し混ぜましょう。
アクリル絵具を薄めるために水彩絵具と同じように水を混ぜて薄めると、光沢がなくなる、接着力が弱まるなど、アクリル絵具の良さが失われてしまいます。あくまでも水は補助的に用いましょう。

・画溶液を用いて粘りを調整する
アクリル絵具の粘りが気になる場合はペンチングメデイウム(ペンチングソルベント)という画溶液で薄めましょう。水のようにサラサラになります。これは元々、アクリル絵具をエアブラシで使う場合にアクリル絵具を溶くために使うものです。
粘りがあっても構わない場合はポリマーメデイウム(グロスメデイウム)を用いましょう。

・絵の具を盛り上げて塗る
アクリル絵具の粘りは盛り上げて描く時に効果を発揮します。色を淡くしながら絵具を盛り上げて塗りたい場合、ジェル状のメディウムを混ぜましょう。アクリル絵具と同程度の粘りを持っているため、絵具の固さに影響を与えません。アクリルガッシュには光沢の出ないマットジェルを用いましょう。
メデイウムの硬さは沢山あるので、自分が狙う効果に合わせて使い分けましょう。アクリル絵具は一度に厚く盛り上げると表面だけ乾いて、中がいつまでも乾かなくなるので気をつけましょう。厚く盛り上げたい場合は3ミリ程度まで盛り上げて一度乾かし、その上にまた3ミリほど盛り上げて塗るという工程を繰り返すと良いでしょう。

 

・画面の色味を落ち着かせる
アクリル絵具で描いた作品で少し色が鮮やかすぎると感じた場合は、「グレーズ」という技法を用います。
画面全体がよく乾いてから、メディウムに少し色を混ぜ、柔らかい毛の太めの筆で画面全体に塗ると、画面の色味が落ち着きます。メディウムに混ぜる絵具の色は、暖色系の画面ならイエロー、寒色系の画面ならブルーを、と画面の色味に応じて使い分けましょう。

・下地に変化をつける
画面全体をザラザラにしたい場合は、下地用のテクスチャージェルを使い、絵を描く前にキャンバスにあらかじめジェルを塗り、乾燥させてから描き始めると良いでしょう。メーカーによって商品名が様々なので、画材店で効果見本を見せてもらって選びましょう。
下地に凸凹などの変化を付けたいときは、キャンバスに下地用のジェッソ(絵具を塗りやすくする、主に白色の下地剤)を少し厚く塗り、乾かない間にペンチングナイフで波形を描いたり、櫛目を入れたりするとユニークな下地になります。
立体的に盛り上がった画面にしたければ、硬いメディウムであるモデリングペーストを使うと良いでしょう。凸凹を大きくしたい場合は、3ミリ程度ずつ、乾燥してから少しずつ塗り重ねていきましょう。厚く盛り上げすぎると作品が重たい印象になります。軽い印象に仕上げたい場合はモデリングペースト・ライトを用いましょう。

・光沢を調整する
光沢を出したい場合は、グロスメデイウム、またはジェルメデイウムを混ぜましょう。グロスメデイウムは液状なのでアクリル絵具に混ぜると粘りが弱くなり盛り上がらないようになりますが、ジェルメデイウムはアクリル絵具と同じ硬さの粘りをしていため、厚い盛り上げ塗りが可能です。更に光沢を出したい場合は、作品が乾燥した後に、画面にグロスバーニッシュを塗ると良いでしょう。
マットな画面に仕上げたい場合は、マットメデイウムかマットジェルメデイウムを混ぜましょう。マットメ光沢を完全に消したい場合は、作品が完成してからマットバーニッシュを塗りましょう。
作品を仕上げた時点で画面上の光沢の具合にばらつきがある場合は、グロスバーニッシュ、またはマットバーニッシュで調整しましょう。


4 仕上げた画面の保存


・画面を保護するには
するのを防ぐにはソリューバーバーニッシュを塗りましょう。光沢が欲しい場合はソリューバーグロスバーニッシュ、マットな画面に仕上げたい場合はソリューバーマットバーニッシュを用いましょう。数年後に作品の表面に付いた汚れを洗い流すこともできるため、仕上がりの画面の美しさを長期間保てます。
ソリューバーバーニッシュは、通常のバーニッシュを塗布した後に塗りましょう。

アクリル絵具で描いた作品をよく乾燥させてからガラス、またはアクリル板の覆いつきの額に入れて保存する場合は、描画面とガラス・アクリル板が接触しないよう気をつけましょう。接触面が接着して一体化してしまいます。


5 後片付け


・アクリル絵の具を使用した後は
アクリル絵具類を用いる筆は乾燥を防ぐため、使用中は筆洗器の水の中に浸しておきます。制作後は水でよく洗いましょう。筆の根元まで絵具が入り込んでいるため、よく洗わないと徐々に根元が固くなってしまいます。

アクリル絵具を用いたパレットは、制作後には絵具が固着しています。ガラス板や陶器のパレットはしばらく水に浸してからフィルム状になった絵具を剥がします。メラミン塗装などの板でできたパレットは、表面に濡れタオルをかぶせておくと、フィルム状になった絵具が剥がせます。一枚板のパレットやアルミのパレットでは乾いたアクリル絵具類は取れません。制作途中に絵具が乾かないうちに、よく拭き取っておきましょう。イーゼルやパレットに固着した絵具はリムーバーを用いて絵具を柔らかくしてから除去しても良いでしょう。リムーバーは臭いが強く、手の脂をとる点に気をつけましょう。

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